2022年。私個人のインフラの整備ができたところで、次は世帯のことである。そもそも本当に必要なものは何なのか、その費用は月額いくらで、今の生活費はどれくらいになるのか、改めて把握しておきたい。意識も手も回らないが何とかなっていた、これまでとは違う。そこに違和感を持ったからこそ得た時間の中で、今できる内に、家庭の固定費削減に取り組まなければならない。引き続き、両@リベ大学長(著)の『本当の自由を手に入れる お金の大学』を参考に、固定費の一つひとつを見直していく。
まずは通信費(インターネット使用料)だ。度々マンションにポスティングされている大手通信会社のチラシ(今まではそのまま捨てていた)をよく見てみると、既存の月額利用料金よりもかなり安い。既にこの通信会社の光ケーブルが当マンションに導入されているためらしい。配線盤から部屋に光ケーブルを引き込み、光コンセントを取り付けるという宅内工事だけが行われるが、条件付きでこの宅内工事費も実質無料になる。詳細を調べたところ、現状と比較し年間三万円を削減できることが判ったため、夫に通信会社の変更を提案し同意を得た。宅内工事にあたっては、賃貸のため、念のため不動産会社に開通工事が問題ないことも確認した。この通信会社の変更については、検討から開通までわずか一週間だった。そのおよそ二週間後、旧通信会社のONUを返却して通信会社の切り替えに伴う対応をすべて完了した。なお、料金の比較検討から一連の対応に至る履歴等は、簡単にデータに纏めておく。いつ、何をもって判断したのか、きちんと検討した証左を残しておくことにより、必要に応じて振り返ることができるからだ。恒久対応の一つであっても、不変的なものは何一つないので、常に必要に応じて見直しが必要になる。その時は色々検討して出した結論であっても、その対応が過ぎれば明確なことは忘れてしまうのが人間なのだ。
夫のスマートフォンの通信費についても、私と同様に大手キャリアから格安SIMに契約を切り替えていく。夫は当初、馴染みのない格安SIMと通信が混雑する時間帯においてモバイルデータ通信の通信速度が遅くなるデメリットにかなり難色を示していたが、現在の夫の利用状況と二つのプラン案から行ったコストシュミレーションの結果を説明すると、最終的には乗り換えに納得した。多少の不便は見込まれるが、さほど致命的でないことに執着して、腰を重くしている場合ではないのである。初めて格安SIMを使い始めて三年の間に、夫も私も、よりメリットのある別の事業者へ更に乗り換えているのだが、格安SIMの契約先の変更はインターネットの手続きだけで完結できるため、電話の手間などもなく、とても手軽で簡単だった。確かに時間帯によっては外での繋がりにくさは感じるものの、享受できるメリットは大きい。大手キャリアを利用していた頃と比べて、月額使用料がとても安くなった。その削減額は、二人で年間八万五千円である。時代が進んでこのようなサービスが生まれたことに、救いを感じる。
続いて、光熱費だ。電力会社とガス会社を乗り換える。電気については、2016年4月から電力の小売業への参入が全面的に自由化されたことにより、消費者は(各地域の電力会社に限定されず)自由に電力会社や料金メニューを選択できるようになった。ガスについても同様に、2017年4月から都市ガスの小売業への参入が全面的に自由化されたことにより、消費者は(各地域のガス会社に限定されず)料金やサービス内容から自由にガス会社を選択できるようになっている。電気もガスも新しい契約先と契約するだけで変更できるため、いずれも旧契約先に対する解約手続きは不要だ。各事業者のサイトからコストシュミレーションが出来たりする。季節で使用量が変わる等の不確定要素もあり、あまりコストメリットを得る確信が持てないが、支払先の統一化という観点からも検討し、まずは乗り換えてみることにした。乗り換え前とその後の比較では、若干安くなったというところだろうか。
そして、ふるさと納税も始めていく。自分が選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)をすることにより、実質二千円の負担で返礼品を受け取ることができる制度だ。寄付金額のうち二千円を超えた分は、所得税や住民税から控除される。つまり、節税である。確定申告ではなく『ワンストップ特例制度』を利用した場合は、(所得税の控除ではなく)翌年六月以降に支払う住民税が減額される形だ。この制度が開始されたのは2008年…そんなに昔からだっただろうかと時の経過に驚くと同時に、夫婦そろってこれを活用せずに、ただ長年働き続けていたことに「もったいなかったな」と少し落胆するのだった。何もしなければ容赦なく徴収されるだけである。在職中はこれについて調べる余裕も、手続きする余力もなかった。まるで余裕がないと、こういうことになる。しかし今は過ぎたことにがっかりしている場合ではなく、私が調べてすぐに夫の対応を取っていくことが最善だ。この月日の間に、手軽にふるさと納税できるシステムも増えたと思われる。ふるさと納税ができる各種サイトには、年収と家族構成を入力することで自己負担額が二千円超えずに寄付できる限度額の目安を簡単に計算できるツールがある。それを確認したら、ネットショップで買い物をするのと同様に、寄付金額に応じた返礼品を選ぶことでその自治体に対する寄付の申し込みが完了する。返礼品は、後日届く。それとは別に寄付をした自治体から郵送で『寄付金受領証明書』と『寄附金税額控除に係る申告特例申請書』が届く。後者は(ワンストップ特例制度を利用する場合の)税金控除を受けるための申請書類なので、必要事項を記入し本人確認書類等を貼付して当該自治体へ期日までに郵送する。最終的には寄付をした自治体から寄付者が住んでいる自治体に連絡がされることにより、翌年の住民税から寄付金額に応じた額が控除される仕組みになっている。
『本当の自由を手に入れる お金の大学』は、保険に対する考え方も、とても参考になった。これまで拭えなかった「砂漠の砂の上に家を建てるような感覚」は次第に薄れ、具体的な考え方に基づく現実的な対応に意識を向けることができるようになっている。これまでの一つひとつが、地盤作りになっていると言える。経験代にしては高かったと悔やまれるお金もあるし(私だけだろうか…くっ…泣)、もっと早く知りたかったと思うことも多いが、今この時代にこの本を生み出してくれた両@リベ大学長さんに感謝したい。現状の家計も見えてきた。
さて、これを投稿している2025年5月現在、これまで固定費を削減するべく見直してきた、通信費(インターネット使用料)・電気・ガスに加えて、家賃までも値上がりした。身の回りのあらゆるものの価格が高騰しており、これまでの取り組みは間違いなく肝になっている。混沌とした大きな流れの過渡期において、きっと興味と怖いもの見たさで入ったであろうお化け屋敷のその中で、とある主婦はジリ貧というお化けの影を見た気がしている。
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